狂犬病の予防接種は、すべての犬と飼い主にとって重要な義務です。
しかし、うっかり接種期間を過ぎてしまうこともあるかもしれません。
この記事では、ワクチン接種のタイミングが遅れてしまった場合の対応方法や、接種の重要性について詳しく解説します。
期間を過ぎても、安心して対応できるようにしておきましょう。
狂犬病は、狂犬病ウイルスによって引き起こされる感染症で、犬だけでなくすべての哺乳類に感染する可能性があります。
発症すると「恐水病」とも呼ばれる水を恐れる症状が現れ、治療法がないため、発症後の致死率はほぼ100%です。
日本では1957年以降、人への感染が報告されていないため「清浄国」とされていますが、世界では毎年約6万人がこの病気で命を落としています。
現在、日本国内での発生はありませんが、海外からのウイルス侵入リスクは依然として存在します。
子犬は母乳で得た免疫が生後8〜16週頃に切れるため、この時期に狂犬病の予防接種を受けることで、新たな免疫を獲得し、病気を防ぐことができます。
接種は犬を飼う人の義務で、初回は生後91日以降、30日以内に行い、その後は年1回、4〜6月に実施するのが一般的です。
この時期は各自治体が、集団接種を実施していることが多いです。
お住まいの市区町村の実施状況を調べておきましょう。
また、混合ワクチンの接種も必要な場合は、同時に受けることができないため、あらかじめスケジュールを決めておくのをおすすめします。
体調が悪い場合などで接種が難しいときは、「予防注射猶予証明書」が発行されますが、体調が改善次第、接種する必要があります。
この証明書は接種免除ではないため、必ず適切な時期に予防接種を行いましょう。
病気や妊娠、あるいは狂犬病ワクチン接種によるアナフィラキシーショックなどの理由で、ワクチン接種が犬の健康や命にリスクを与える可能性があると獣医師が判断した場合、「狂犬病予防接種実施猶予証明書」が発行されます。
翌年も猶予が必要な場合は、再度獣医師による診断と証明書の発行が求められます。
狂犬病ワクチンの接種は法律で義務付けられていますが、体調面に不安がある場合は、必ずかかりつけの獣医師に相談しましょう。
猶予証明書が発行された場合は、自治体の規定に従って証明書を提出する必要があります。自治体によって基準や手続きが異なるため、獣医師や自治体に確認することが重要です。
狂犬病予防週間を過ぎても、動物病院で1年中ワクチン接種が可能です。
思い出したらすぐに接種し、済票の発行も忘れずに行いましょう。
前回の接種から1年経っていなくても、次の接種を受けることができます。
毎年同じ時期に接種する必要はありませんが、忘れないように狂犬病予防週間中に受けることをおすすめします。
故意に接種をしないと、20万円以下の罰金が科せられる可能性がありますが、うっかり忘れていた場合、接種する意思があれば罰金は課されません。
ただし、これは「狂犬病予防法違反」に該当するため、早めに接種するようにしましょう。
注射の費用は地域ごとに異なるため、お住まいの地域で確認が必要です。
期間外の料金は病院ごとに異なります。
狂犬病ワクチンは、すべての犬に義務付けられており、費用は地域や病院によって変わりますが、一般的には3,000円前後が相場です。
初回の畜犬登録手数料が約3,000円、ワクチン代が2,000~4,000円、接種済票交付料が500円程度かかります。
なお、ワクチン代には接種済票交付料が含まれる場合もあるので、事前に病院で確認すると良いでしょう。
畜犬登録と狂犬病ワクチン接種を行うと、「鑑札」と「狂犬病予防注射済票」が交付されます。
これらは、犬の所有者情報や狂犬病ワクチンの接種を証明するもので、首輪やハーネスに取り付けることが義務付けられています。
これらの標識は、ドッグランやペットホテルなどの施設を利用する際に必要なことが多いため、日常的に装着しておくことが望ましいです。
注射済票は、年度ごとに更新され、新しいものが交付されますので、毎年の付け替えも忘れないようにしましょう。
動物病院でワクチン接種を行った際には「注射済証」を受け取り、それを市区町村の窓口に提出して「注射済票」を取得します。
地域によっては、病院で直接注射済票を受け取れる場合もあります。
なお、狂犬病予防週間中に集合注射を受けた場合、その場で注射済票を受け取ることが可能です。
もし、期間外に接種した場合でも、証明書を持参して窓口で申請すれば発行してもらえます。
※一部の自治体では、マイクロチップを装着している場合、鑑札の交付が省略されることがあります。
狂犬病ワクチン接種後に見られる可能性のある副作用は以下の通りです。
顔の腫れ(ムーンフェイス)
下痢
嘔吐
発熱
元気消失
食欲不振
蕁麻疹や皮膚トラブル
呼吸困難や過呼吸
震え
接種部位の腫れや疼痛(痛み)
狂犬病ワクチン接種後の対応方法を以下にまとめました。
ワクチン接種後、少なくとも30分間は動物病院で待機し、異常がないか確認します。
特に、呼吸や心拍が速くなる、歯茎の色が白くなるなどのアナフィラキシーショックの兆候には注意が必要です。
接種後に上記の症状が見られた場合、速やかにかかりつけの獣医師に連絡して、指示を仰いでください。
早期に対応すれば、重篤な状態になる前に適切な処置を受けられる可能性が高まります。
ワクチン接種後は、体調の変化を注意深く観察し、愛犬が落ち着いて休める環境を整えてください。
特に、接種当日は激しい運動を避け、安静に過ごさせるようにしましょう。
接種翌日も、愛犬の様子を引き続き観察します。
普段と違う様子が続く場合や、新たな症状が現れた場合は、再度獣医師に相談することをおすすめします。
ワクチン接種自体は安全性が高いとされていますが、少しでも不安な点があれば、専門家に相談することが重要です。
狂犬病ワクチンの接種時期を過ぎてしまった場合でも、動物病院でいつでも接種が可能です。接種を忘れてしまった場合は、気づいたらすぐに動物病院でワクチンを受け、接種済票を取得しましょう。法律で定められた義務を果たすことが大切です。
狂犬病ワクチン接種後に見られる可能性のある副作用には、顔の腫れ(ムーンフェイス)、下痢、嘔吐、発熱、元気消失、食欲不振、蕁麻疹、呼吸困難、震え、接種部位の腫れなどがあります。ワクチン接種後は、愛犬の体調に注意を払い、異常があればすぐに獣医師に相談しましょう。
予防注射猶予証明書は、病気や妊娠、アナフィラキシーショックなどの健康リスクがある場合に、獣医師の判断で発行されます。ただし、これは接種の免除ではなく、体調が回復次第、予防接種を受ける必要があります。証明書が発行された場合は、自治体の規定に従って提出する必要があります。
狂犬病ワクチンは、予防期間を過ぎても動物病院でいつでも接種可能です。
愛犬の狂犬病予防は飼い主の義務です。
大切な愛犬の健康を守るため、気づいたときにすぐに狂犬病のワクチンを受けさせましょう。
期間を過ぎてしまっても、ワクチンを接種して済票を取得することで、法的な義務を果たすことができます。
忘れずに対応し、愛犬との安全な日々を守りましょう。